かんそう
C74 同人ノベルゲームレポ - アユミちゃん、セカイを救う!
基本情報
正式名称: アユミちゃん、セカイを救う!
製作: アリスとテレス工房
エンジン: NScripter
体験版等:なし
評価
シナリオのタイプ: 分類不能短編
俺プレイ時間: 20 分
ルート: 分岐なし完結
クオリティ高い部分: アユミちゃんがセックスセックスいう部分*1
感想とか
立ち絵とかない.シナリオも……評価することが難しいな.それはひょっとしてギャグで言っているのか? みたいな部分が散見されるが実際ギャグなのか文学なのかなんなのか俺が判定するには若すぎる. たぶん文学なんだろうけど…….
展開自体もよくわからんっていうかギャグっぽいっていうか,ギャグっぽいのに割とシリアスっていうか,カオス.だがそれが文学! なのだろう.多分.
後書きによると村上春樹『神の子供たちはみな踊る』の『カエルくん、東京を救う』のオマージュらしい.そっち知らない教養(笑)がない俺が悪いのかな.やっぱ文学なのかもしれん. あ,「イリヤの空、UFO の夏」 ネタも入ってるらしい.これはわかった.
でもまあアユミちゃんが
「応援してくれるなら、私、鉄川さんとセックスしたっていいッスよ」
「これを食べて、一発セックスして元気出すッス」
とか平然とのたまわれたかと思ったら主人公が学校の女友達に
「一生のお願いだからセックスさせて」
とか言い出す始末で,アユミちゃんが終盤死にそうになってるときに地の文では
セックスしてあげればよかった、と僕は思った。
ただの冗談に留まらず。
みたいな調子である.理解することは難しい.
総評
俺にはわからない
- なんという…… [↩]
C74 同人ノベルゲームレポ - crown
基本情報
正式名称: crown
製作: 遊牧生活
エンジン: 吉里吉里2/KAG3
体験版等:なし (同サークル別作品のフリー公開はあり)
評価
シナリオのタイプ: SF短編
俺プレイ時間: 25 分
ルート: 分岐なし完結
クオリティ高い部分: 本文,演出
感想とか
unix 風っていうかまんま unix な OS の立ち上げ画面を再現して演出としたり,「データベースに問い合わせよう」という場面で実際に SQL 文が出てきたりとこっちの世界の人に 「お」 と思わせる作品*1.こういうこだわり方っていうか個性の出し方ってステキです☆
内容としてはまじめに SF っていうよりは雰囲気命って感じの話かな.乙一的っていえばわかる人にはわかる.
設定の描写が緻密なので,背景モノトーンオンリー,立ち絵も一応って感じ*2にしか出てこないけど話に引き込まれます.
終わり方が割と唐突なんだけど,その唐突さこそがシナリオとして非常に意味を持つ部分なんだよね.一般受けはしないと思うけど,ちゃんと読み解ける教養(笑)をお持ちの人には考えさせられるシナリオだね.個人的にはすごく親近感のわく分野の話だったから気に入った.
総評
コンピュータとかロボットとか SF とか OK な人はぜひ
C74 同人ノベルゲームレポ - 雲になれたら
基本情報
正式名称: 雲になれたら
製作: そ~る
エンジン: 吉里吉里2/KAG3
体験版等:なし
評価
シナリオのタイプ: しんみり短編
俺プレイ時間: 5 分
ルート: 分岐なし完結
クオリティ高い部分: 尺以外全て
感想とか
短編の鏡.短いかわりにとことん演出や素材にこだわって,全てを注ぎ込んでる感. 全て一枚絵で構成しているっていうあたりからしてもう注ぎ込んでる.
音楽・画像のフェードインとかもいちいち演出がキマっている.新海的っていえばわかる人にはわかるな.開始 1 分で雰囲気に飲み込む様は圧巻.
文章・シナリオ,上手です.縦書きなのが小説っぽさを増してて良い感じ*1.悲しすぎずハッピーすぎず,ふわっと雰囲気を残して終わります.
ちなみにこれでオリジナルノベルゲーム第一弾らしい.次回作に期待大.
総評
見習いたい
- 吉里吉里は縦書き簡単にできるのかぁ.羨ましいな. [↩]
C74 同人ノベルゲームレポ - 一日千秋
基本情報
正式名称: 一日千秋
製作: さくらミント
エンジン: NScripter
体験版等:なし(同サークル別作品のフリー公開版はあり)
評価
シナリオのタイプ: しんみり系短編
プレイ時間: 20 分
ルート: 分岐なし完結
クオリティ高い部分: 立ち絵,ネーミングセンス
感想とか
作品タイトルでの言葉遊びがお上手.こういうの好き好き.
ストーリーは短いけどいい読後感.開始 5 分でオチが読めたのが惜しかったけど,そんでも最後まで飽きなかった.
絵が見てわかるとおりクオリティ高い. まあ姉妹設定で素体使い回し足りして作業量減らしたんだなぁとかわかるけど,それがちゃんとシナリオに生かされてるから何もいいっこなし.
G 線上のアリア*1が流れてくるシーンがあるんだがあれはいい演出でした.
総評
フリーになったらやるべき.お時間も取らせません.
- だっけな. [↩]
C74 同人ノベルゲームレポ - 一つ願いが叶うなら
基本情報
正式名称: 一つ願いが叶うなら
製作: ねこでんわ
エンジン: NScripter
体験版等: なし
評価
シナリオのタイプ: 学園物ギャルゲー
プレイ時間: 1周目に1時間.プラス30分でフルコンプリート
ルート: 2エンド + BAD1つ(確証なし)
クオリティ高い部分: 背景
感想とか
シナリオはギャルゲー慣れしてると新鮮みはないかも.学園で始まり学園で終わる話.せっかく好き勝手やれる同人なんだからもうちょっと背伸びしても……パターンに従順すぎるというかね*1.
評価すべきはロリが出てくることとロリコンが出てくることかな.サブキャラ男の藤巻がロリコンね.
改善すべきはロリが攻略できないことかな*2.藤巻がロリコンすぎて付け入る隙がありません><
割とグラフィックは力はいってると思う.特に背景描いてるっていうのはすごい.一枚絵もエロシーン含め相当数あり.
っていうか,そう,エロゲーですこれ.俺がシナリオ重視でこの手のゲームやる人なんで,エロを売りにしてシナリオに力入ってないってレベルじゃねーぞになりがちな同人エロゲはあんまり買わないように気をつけたんだけど混ざってたっていうか.いや,この作品は割とエロ重視じゃなくてちゃんと話があったからいいんですが.
総評
ロリコンにはおすすめできない(藤巻氏ね的な意味で)
C74 同人ノベルゲームレポ - 序
まずはプレイする順作品リスト.
- ひとつ願いが叶うなら
- 一日千秋
- 雲になれたら
- crown
- アユミちゃん、セカイを救う!
- 雨の日と雨の日の次の日
- ハナレバコ
- あたたかいおくりもの
- 雪月花
- 3 Days
- 雨ではなく、雪でもなく
- 彼方のトケイ
- 揺り篭
- Fw:
- もしもし?
- マリオネットにさよならを
- 月照
- 灯
- 神様ノ子守歌
- 鳥鳴きの森
- 聖スミス学園帰宅部戦記
- Wish ~tale of the sixteenth night of lunar month~
- B
- 夢見る銀貨
- いつか夢見た風景で
- ノゾミカナエタマエ
- TAIHAism
(製作サークル,作品ページへのリンク等は個別エントリの方に書きますんでここでは勘弁を)
インストールする段階になってうわこれ体験版じゃん,とかなったものがいくつかあったので総数減りまして 27 です.上からやっていきます.
っていうかもう 15 まで終わってます.このペースだと全部終わるのも時間の問題だな.
どういう順番になってるかっていうと,上の方が外装やる気なさそうなもの*1多めで,ちょこちょこ大作っぽいの挟むって感じで,下にいくほど期待度大な作品が多めです.
ぶっちゃけた話,TAIHAism 超やりてぇ! っていう衝動で上のほうの大量のものを消化しようってわけですな.消化とかいうと失礼ね.まぁ上のほうにあるからってナメて読むわけじゃなくて,ちゃんと客観的な評価ができる程度にはちゃんと楽しんで読んでますお.
前も書いたけど作り手側もやってるのであんまり叩いたり馬鹿にしたりするような評価はできないっていうかしたくないのね.商業作品は遠慮なく叩けるが,同人は同人だからなぁ.てことで作品のいいとこを紹介できればと.あんまりレビュー内で触れていない要素があれば,お察し下さいってことね.
- 失礼. [↩]
12RIVEN (5)
まずは,公式ページにある意味深な文面たちから見ていこう.
(Introduction -> 1 ページ目)
物語は錬丸視点、鳴海視点で展開し、それぞれの視点の問題を解決する事で、ミュウを守り第弐エクリプス計画を阻止する事ができる。
まず、錬丸視点では、ミュウを守りながら時の止まった世界からの脱出を模索し、鳴海視点では第弐エクリプス計画を阻止すべく奮闘努力する。
そして、それらの視点で一通り問題を解決すると……各キャラクターが何者で、どんな仕掛けで事件が起こり……などなど、謎が解決していく「∫ルート」が開放される。
その、「∫ルート」をすすめると晴れて、ミュウを守り第弐エクリプス計画を阻止できるのだが、それはハッピーエンドか。それともバッドエンドか……
公式ページに堂々と「錬丸視点」「鳴海視点」それぞれをクリアすると「∫ルート」が開いて,そこで「各キャラクターが何者で」「どんな仕掛けで事件が起こ」っているのかなどの「謎が解決していく」という情報が筒抜けになっている.
さらにそれぞれのルートの具体的な中身も,かなり的確に表現してある.序盤中盤の本文なんかよりはよほど的確だ.
まぁここまではそこまで怪しくないとしても,「∫ルートをすすめると」「ミュウを守り第弐エクリプス計画を阻止できる」 という完全な結末まで明記してある.さも重要ではないかのようにだ.
そこに書いてある内容にとどまらない大どんでん返し展開があるかというと,ない.構造的な謎解きが絡んでいるため上記の文面からストーリーの全容がわかるわけではないが,「お話」 としての 12RIVEN の結末は完全に公式ページに記載されていると言える.つけ加えるなら,構造的な謎解き要素についても,「どんな仕掛けで事件が起こり」 という形でその存在が示されていて,「解決していく」と,本文中で解決することまで明記してある.
以上のことから 「確かに『お話』としても読めるし完結してるように書いたけど,そこはさして重要ではないのだよ」 という作り手のメッセージが汲み取れる.
お話としての展開は明らかに Remember11 よりも Ever11 よりもリズムがあって面白かった.で,そこから 「次にどうなるのかな,わくわく」 みたいな面白さを意図した部分が大きい作品だろという見方が出てくるわけだが,そういう方針ならこの公式ページの記述に説明がつかない.そういう普通の小説的な「結末がどうなるのか」を面白さの核にする作品なら,公式ページにこんなネタバレをすることはありえないからだ.やはり,作り手の側にメタった読み方を推奨するという意図があることをほのめかして感じられる.
さらにダメ押しすれば,「ミュウを守り第弐エクリプス計画を阻止できる」 とまで書いておいて 「それはハッピーエンドか。それともバッドエンドか……」 なんて書いてあるじゃないか.ヒロインは助かり計画も阻止.誰がどう読んでもハッピーエンドのはずである. なのに,なのに,「それはハッピーエンドか。」 と続く.そして本文でも,特にひっかかる点は(一応第三の話とか出てるけど)なく,キスして綺麗にハッピーエンド.
おかしい話である.こういう作品はある意味で展開の意外性をウリにしてるはずなのに,まったくそれがない.そこから,この文の真意は,「上の次元から考えたとき,『それは』本当に『ハッピーエンドか』?」 なのではないかと読める.
続いて
(Production Notes)
integral ~新しいエンターテイメントへの挑戦~
というこのページ.メタフィクションという単語があからさまに出現し,普通に Introduction の中の 1 ページとして存在してもいいはずなのにわざわざ 1 メニュー項目を使ってまで integral という単語について解説している.やけにクサいではないか.ただ意味深な内容を置いて期待感を持たせているだけだろう,というような現実的解答は拒否する.考えるというか,妄想するのである.それが楽しむコツ.
まずはここ.
本作ではゲーム世界の次元から現実世界の次元への、その次元を越える操作に『インテグラル』という言葉をあてている。そしてこれが、我々が『インテグラル』に込めた想いである。
前エントリでも書いたけど,こんなこと言っている割に作中で「インテグラル」という単語が「次元を越える」ようなものとして使われることは,(調べてないけどたぶん)一度もない.出てくるのは,「∫ルート」という解答編の名前としてと,インテグラルという(実は二つの)建物の名前として.
前者についてはなぜどうしてその名前なのかということは一切説明がない.錬丸ルートと鳴海ルートに対して突然「∫ルート」.インテグラルというのが今回のテーマに絡んでいるようだ,という認識はしつこすぎるくらいに(インテグラル記号を二つ重ねたマークをリミナリティのマークにするとかして)プレイヤーにすり込んであるからなんとなく 「解答編ってことだな」 という認識になるが,よく考えてみると,いや,よく妄想してみると,「∫ルート」 という名前に説明がなにもついていない.クリアした人でも,二つの視点が交互に書かれるからそれが「インテグラル」なのかな,とか,構造的な種明かしがあるからそれが「インテグラル」なのかな,とか適当な理解にそれぞれ勝手に至るだけ.結局最後まで謎の「∫」である.
で,後者の建物のインテグラルだが,片方はホテル「ル・グランティス」(であってる?)が正式な名前で,アナグラムにすると(s を∫と見立てて) ∫integral になり,錬丸とミュウの間でだけ使われていた呼び方だった,という設定で,もう片方はタワーの名前がインテグラル.しかしこれは比較的どうでもいい設定で,序盤中盤だませればいいかなって程度のもの.本質的なトリックにはなっていない.だというのにわざわざ回想シーンまで用意して,インテグラルとル・グランティスを結びつけたりしている.これにより序盤でやたら意味深に出てきた「インテグラル」なる名前は,本当に「ただの名前」に過ぎないことに.そう,そこでの「インテグラル」はただの名前,意味はもたない.だって,とてもではないがただのアナグラムが「次元を越える操作」に関連するとは思えない.なにがいいたいのかというと,ダミーだろうということ.
結局,「インテグラル」って単語がそれ自体で意味を持って出てくる部分というのは,本文中に存在しない.
たくさん出てきていると見せかけて,実は意味ありげなものは,「∫ルート」という名前にしか現れていない.
これは果たして,制作者側が中途半端な状態で発売に踏み切ってしまった等の事情による不慮の事態だろうか?
こういう解説ページによれば,そういうことになっている.言っておきながらできなかったのだ,だから駄作だ,と.
それは「お話に出てきた中でものを考えましょう」というルールに則るなら正しい理解というか,当然行きつくべき地点だし,間違ってるという気はしない.ただそれではつまらないから,俺は,いや本文中に登場せずともやはりインテグラルは鍵なのだ,と言ってみることにしよう.
そう思う理由リスト:
-
インテグラルを執拗に強調している
ロゴのバック,サブタイトル,「∫ルート」,リミナリティのバッジ,公式ページに設けられた単語「integral」を解説するためだけのページ.まったく「次元を越える操作」を埋め込まないのだったら,そもそもこんなに強調しなくていい.製作の途中で影を薄くしていって,誤魔化してしまえばいいのである. -
本文に出てこない.出てきた「インテグラル」は名前で,ダミー
作ってる側は馬鹿じゃないという前提条件からいくと,この 「作品外部で強調」 「作品内部ではダミーが登場するだけ」 という矛盾はいろいろ意味をもって感じられる.上記とかぶるが,本当に間に合わず「インテグラル」という仕掛けが盛り込めなかったなら,もうちょっとそれらしい「惜しい」ものになっていてもいいようなもので,名前であるところの「インテグラル」だけが本文中に登場する唯一の「インテグラル」であるなどという極端な事態は普通考えられない.もうちょっと意味のある「インテグラル」が顔を覗かせるか,ダミーの「インテグラル」も廃されていて本文中に全く出てこないか,どっちかのはずである. -
公式ページの記述
以下.
ここまで触れていなかった公式ページからの引用にも,大きなヒントがあるように思う.
本作ではゲーム世界の次元から現実世界の次元への、その次元を越える操作に『インテグラル』という言葉をあてている。
と明言している.鍵っぽいのに本文中で「インテグラル」がまったく出てこず,結局なにがインテグラルだったのかわからないという人も安心だ.だって,ここにこうやって書いてある:「インテグラルはゲーム世界の次元から現実世界の次元へ,次元を越える操作」.
つまりこうだ.パッケージや「∫ルート」の「∫」はつまりその記号単体で,プレイヤーに 「次元を越えろ!」 すなわち 「ゲーム内での解釈に終始せず,現実世界の次元で考えろ!」 とメッセージを送り続けているのではないか?
とっぴな解釈.そもそも妄想である.だが,こう考えると続く次の一文もうまく説明できる.
そしてこれが、我々が『インテグラル』に込めた想いである。
この文は一見すると,「インテグラルというものをテーマに,我々はそういう信念で作品を作りました.想いがこもってます」 みたいなどうでもいい文である.だが,実は先に書いたような解釈を後押しする文にもなっているのだ.
すなわち,一文目「インテグラルとは,次元を越える操作である」 -> 二文目「そしてそれこそが,我々が『インテグラル』を使っている意図である」 という具合だ.
これならば,本文中に「インテグラル」らしきものが登場しないのは当然だ.インテグラルとは作中に登場する要素・単語なのではなく,この作品自体に付くタグのようなものと考えられるのだから.
Production Notes というページ名は 「作品の能書き」 のような意味ではなく,字面通り,「作品に関する注意書き」の意だったのだ.
ではタグというのはどういうタグか.全てそのページの中に書いてある.
次元を越える操作に「インテグラル」という言葉をあてている
プレイヤーもゲーム世界のシステムの一つであり、ゲーム全体を構成するのに欠くことができない(中略)そのシステムを本作では「インテグラル」と名付けた
ゲーム世界からより高次へ向かう仕掛けを用意し,物語世界・開発者・プレイヤーをトータルに結びつけ「全体」を作り上げるシステム、それが「インテグラル」
すなわち,「次元を越えて良く」 「プレイヤーが独自解釈を加えてもよく」 「物語のみならず開発者やプレイヤー達含めた『全体』で考えねばならない」 ようなゲームに付くタグである.
特にふたつめ,みっつめについて,なんでそうなるんだ? と思う人は上記引用文を単語レベルに分解して精読してみてほしい.
「プレイヤーもシステムの一つ」 であり 「プレイヤーもゲーム全体を構成するのに欠くことができない」 とある.E17 や R11 という前例があるから,ああいう形でプレイヤーが一方的に作品に「組み込まれる」のだと勘違いしがちだが,どこにもそうは書いていない.プレイヤーは「システム」であり,「構成する」のだ,と書いてある.これとひとつめの「次元を越える」を考えあわせると,要するにプレイヤーはそれ単体では矛盾に満ちあふれてみえる 12R の世界に「システム」として干渉し「構成」していい.これは言い換えれば独自解釈,後付け設定を許容するという宣言ではないか.
三つ目も同様だ.「(ゲーム)全体」は何によって作り上げられるかというと,「物語世界」すなわちゲーム自体に加え,「開発者」と「プレイヤー」であると書いてある.つまり,そういうことである.12R が作品それ単体では矛盾で満ち満ちていることをより一層擁護したいなら,この文の主語を意識すればいい.我々開発者は 「仕掛けを用意し」 「物語世界・開発者・プレイヤー」は「全体を作り上げる」.そう,「物語世界」で完結するように作者は作っていないのだ.作者が汗水垂らして作ったのは,プレイヤーまでもが協力してはじめて「全体」になるような「仕掛け」だ.
その「仕掛け」ってのはたとえば,公式ページというさりげない場に「インテグラル」を読み解く重大なヒントを隠しておくとかである.
だとするならば,今まで俺が繰り広げてきた妄想はまさに意図通りというわけだ.
まあ,誤った仮定からスタートしてその誤り自体を正しいと証明できたところで最初の仮定がやっぱ真でしたということにはならないことくらいは記号論理学不可った俺でもわかるので,「だから俺の考えていることは正しい」というつもりは依然ないが,
こういう風に考えるのもほら,なかなか面白いでしょうということで.
12RIVEN (4)
もうそろそろ売りそうだ.今ならまだ買い取り価格 4k 弱. プレイ料 1k ならお得だわ.
今までのエントリはなんとなくネタバレ回避してたけど今後はそこそこネタバレ.別にこれ読んでも本質的な楽しみが損なわれることは全くないけど,一応書いておく.
あれから本文は一度も読んでない.けど,2ch スレ精読したりしてたら識域下錬丸=プレイヤー,とまではいかなくとも,なんらかの識域下錬丸にプレイヤーの干渉,という方向で考えてなんとなく納得がいってきたような気がしてきたようなしてきていないような.完全解にはほど遠いにしろ,頭の中の雲はだんだん晴れてきて気分的にはよくなった.
きっとこの理解がもうちょっと進むと,矛盾点がどんどん気になりだして再び脳内に暗雲が立ちこめるのであろう.
そこにたどり着いてなんだこのクソゲーと言い放ってしまう事態が怖いので,今のうちにメタった楽しみ方をしておくことに.
どこまでが作者の意図かって考察は,難しいというより不毛なのでしない.とりあえず俺は 「作者の知能は無限大,どこまで意図があってもおかしくない」 という立場で妄想を繰り広げるのが個人的に好き(それが正しい読み方と主張するつもりは毛頭ない)なので,この立場を明言した上で,以降,「こういう方向で 12RIVEN をしゃぶってみたらどういう姿が見えてきそうか」 という考察というか深読みというかをする.
12RIVEN (3)
∫ルートおわた.と同時に CG もエンディングも全部埋まったコンプリートおめでとう.10 時間もかかってないな.現在時給 -600 円くらい.
思っていたより多くのことを明示してくなあ,が∫ルートやってる最中に思ったこと.
おいおい色々収束させすぎじゃね,っていうか綺麗に終わっちゃったよどうすんのこれ,が∫ルート終わって思ったこと.
しかし説明ついてないことも山盛りなのね,が全文スキップで∫ルートもう一周しつつ思ったこと.
話の中で明かされる分のキャラ関連伏線はほとんど予想しかつ外れなかったのでひとりで俺 SUGEEE して,よーしお父さんシーン整理して全体の考察はじめちゃうぞー,と思いかけたけどそこでどこにそんな時間があるんだよ俺ばーか氏ねと思ったのでぐぐって一通り考察サイト巡回.
さすがに発売からこんだけで全容解明されてはいないだろ Remember11 のことから考えて,と予想したのだが案の定ほとんどのとこが揚げ足取りとか疑似科学叩き,はたまた 「また Ever17 に届かない.凡作」 とかいう捨て台詞吐いたりとメタ考察してるばかりで,作品設定を全面的に受け入れるという土俵の中で戦って勝った人は見かけない.2ch ネタバレスレも空気だけ見たけど多分そんなかんじ.
いやまあ,この土俵の中では戦うのはちょっと……と尻込みしたくなる気持ちはよくわかるのだが.
こういう作品を読み解くにあたって,どこまでが作者の意図なのかっていうメタ考察が必要なのが尻込みを加速させてる気がする.特に今回は顕著.
Ever17 では作品内でほとんど全部解説してるから一部のパラドックスにいちゃもんつけたりって議論が残るくらいだったし,Remember11 のときには全容解明はプレイヤーにお任せしますってスタイルがエンディングとかから滲み出ていたので考察に火がつきやすかった.
今回は良くも悪くもその真ん中を行ったので,そこそこ不溶要素があるのにまあ話は完結して見えるし,考察してみてもいいけどそもそも設定に矛盾点っぽいのが山盛りだし,その矛盾さえ設定として組み込まれているのかどうかって考え出すと頭痛いし,そもそもおかしいってわかってる設定を受け入れて考えるのは苦痛だろう,うーん,まぁ,こういう作品ってことかな,凡作.……となりがちなんじゃなかろうか,と.Ever17 と Remember11 があるからこそこんなことになる.
俺はどちらかといえば,作者はそんなに馬鹿じゃないだろう派.すなわち,(見落としによるポカミスもあることは確かだけど確信犯的誤用などもあって)明示的に書いてない内容を考え合わせて読み返せばもうちょっと評価できる姿が浮き彫りになってくるんじゃないかなあという淡い期待を捨てきれない.…… 3 年もかけて書いてそんなにお粗末なわけがない,と擁護したいだけといわれれば心情的にはそう.
明らかに Ever17 や Remember11 を凌駕する難解さのギミックを多数配置しておきながら易々とそのネタバレを本文中でしていってしまったりという様子をみると,いやまだ裏があるだろと思いたくなるというか.難解なギミックを配置しまくった結果矛盾しだして収拾つかなくなってこんなんなっちゃったんだろう,と思考放棄するにはもったいないなあというか.
全ての矛盾点が意図されたものだとはさすがに思わないけど,ある程度はメタオチ路線でいけるんじゃないの.
そう思う理由がないわけじゃない.だってさ.公式ページに
ゲーム世界からより高次へ向う仕掛けを用意し、物語世界・開発者・プレイヤーをトータルに結びつけ「全体」を作り上げるシステム、それが「インテグラル」なのだ。
これはゲームにおけるメタフィクションの実験であり、新しいエンターテイメントへの挑戦である。
なんてことがあからさまに書いてあるのに,メタフィクショナルな仕掛けや,「高次へ向かう」ような展開はゲームの中で鍵になることはおろか,おそらくほとんど登場してさえいないんだよ?
この事実を 「間に合わなかったんだろ」 「言っておきながらできなかった駄作」 という評価につなげて終了することもできるけど,冷静に考えると,今まで Ever17 でも Remember11 でもメタフィクションの 「そういう匂い」 をほぼ完全に消してきた Infinity シリーズが,ここにきて公式ページにこんな文句を書いてきたわけだよ.
意味深じゃないか.敢えてこうやって書かなきゃいけない理由があったと考えることはできないか.
たとえば……こうでも書いておかないと,そういう読み方をして本当の意味で 12RIVEN をしゃぶりつくしてくれる人が現れないから,とか.そう読めば,「メタフィクションの実験であり」 「エンターテイメントへの挑戦である」,というこの一文の意味するところも変わってくる.
……深読みしすぎかも.
12RIVEN (2)
鳴海ルートと錬丸ルートそれぞれ回収できそうなルートは辿った.∫ルート? は途中.
あんまり長くない.冒頭部とかどうでもいいとこスキップすりゃ残りは読んでも 1 周 2 時間くらいか.
一応どういう話なのかはわかったけどまだお話の中で完結してる段階だから,ここからなんだろうね.っていうか∫ルート読まないと始まらないんだろう.うん.
片方(鳴海ルート)は普通のというかまぁいかにもな感じの刑事ミステリ風で,もう片方(錬丸ルート)はちゃんとプレイヤーに媚を売る萌えキャラ満載ギャルゲ風っていう分け方がステキだ(w
しかしまぁそこそこ思索的な内容をぺらぺら喋るキャラクターが複数名登場した上,主人公も当然のように 「カントからの引用だな……」 とか言えちゃうこういう作品の雰囲気は嫌いじゃないお.そういう世界観なだけに科学考証にツッコミ入れたくなったりはするけどご愛敬.
最終的には科学考証っぽいことはメタオチに対するカムフラージュだろうと予想してるけどどんなもんやら.
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