トイレに引き篭もるのはよくない
JR バスの方々には多大なご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。
……と、壮大な始まり方だけど、どうでもいい私生活のお話で。
高速バス乗ってたんですよ、高速バス。それも夜行の。寝て起きると数百キロなんてすぐだよね、しかも割と安いよっていう。新幹線の半額未満だからね。
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ところが、なんだか今日は寝れなかったわけである。だから 1 時間くらいは目を閉じてあれこれ妄想を繰り広げた。
この高速バス横転炎上したら何人くらい死ぬかなあとか。どういう盛大な事故だったらバスが縦向きに回転するかなあとか。あとは、基本的に客は寝てるし運転手は客席見れる状況にないし、窃盗とか容易に行われそうだけどどうなんだろう、とか。高速バスってとても密室的で、乗るとき降りるときしっかり管理してるからそこをしっかり押さえてあれば大丈夫なのかな、いやしかし逆にそこで盲点を突かれると脆弱なわけで、例えば高速運転中に盗品を外部に持ち出す手段があればどうだろう、とか。
ミステリ好きでもなんでもないけれど、そういう毒にはなっても薬にはならなさそうなことを考えてむにゃむにゃと眠ろうとした。でも、だめなときには何をしてもだめ、とはよくいったものだ。眠気どころかその気配さえいっこうに訪れない。
ああこれは無理だな、と思って。しょうがないから、ノート PC を取り出してポチポチやりだした。 しかしすぐに夜行バス内でノート PC はあまりにも空気が読めていないと気づいた。光が漏れるし、タイプ音も馬鹿にならない。
今度は、悪いなあ、と思って。しかしそのままぼけーっと暗闇の中妄想に浸っていると、朝までには高速バス内で窃盗が起きたかと思ったらバスが縦向きに空中回転して爆発炎上する謎のストーリーが完成しそうな勢いだ。それよりはむしろ AZIK 議論あたりを追いたかったので、なんとかならないかなと考えた。
その結果導かれた解決策が、高速バスについてる小さなトイレは一応個室になっているので、そこに篭もってノート PC を弄っていればいいではないかというものだった。 そこならば光も音も迷惑にはならない。無論トイレを占有するわけだから、利用者が現れた場合には迷惑をかけてしまうかもしれなかった。だが俺の経験から言って、休憩所で用を足すやつはいても、据付のトイレのお世話になるやつは滅多にいない。 鍵はかけずにドアだけ閉めておいて、万一利用者が現れたら、その時は一言詫びて譲れば良いだろう。そう考えて、俺はトイレに引き篭もることにした。
そこは洋式の便座と、かろうじて足が置ける程度の余地があるだけの本当に小さな空間。天井も低く、男一人が立つことすらままならない。トイレットペーパーやら消臭剤、汚物入れなどの必要最低限のものが身を寄せ合うように壁に固定され、ごごおという低い走行音が残りのスペースを埋めていた。
……にも関わらず。そのロッカーの中を思わせる小空間は、俺にとって実に居心地のいいものだった。身を丸め、小さな空間に詰まるように入るような格好は、誰にいかに否定されようとも、俺は嫌いではない。高校時代、朝一で教卓の中にもぐりこみ、膝を抱えて英単語の書かれた暗記カードをめくった記憶がよみがえる。
体温で温まっていく便座を尻に感じながらノート PC を開く。その画面に集中する限り、周囲の狭さなど問題にならない。今では WIMAX と e-mobile の話題の影に隠れてしまった W05K が時速 100km 程度で移動中も問題なくつながることに感謝し、Twitter ログを漁り始める。午前 1 時半のことだった。
幸いにもトイレの戸を叩く者は現れず、目論見通りしばらくの間 8.9 インチの小さなディスプレイに集中していた俺だったが、そのときふと違和感を感じた。つい先ほどまで確かにあった何かが、今は足りない。
何だろうかと数秒考え、走行音がしていないことに気がついた。 つまり、休憩所に停車中というわけだ。
同じ姿勢で身をかためていたためか、肩のあたりに少々だるさを感じる。せっかくなので、少し外を歩いてくることにした。この刻、午前 3 時前である。
それから 5 分も経たず、俺はバスに戻った。かろうじて小さな自販機エリアがあるだけという寂しいパーキングエリアにがっかりしてはいたが、なんだか口が寂しかったこともあり、缶のココアだけはしっかりと買って。
さすがにトイレの中でココアを楽しむ文化はない。 本来の自分の席に座り、ほかほかしたココアを飲み始めた。
しばらくして、がちゃんとバスのドアが閉められる。時間になり、バスを降りる際カウントしていた乗客全員が戻ったことを確認したのだろう。 さらに、車内に薄い明かりがついて、運転手さんがなにやら確認しながら通路を奥まで歩いていって、戻ってきた。
かと思えば、彼は再び同じ行動を繰り返した。今度は、首をかしげ、しっかりと指を折りながらである。その行動がさらにもう一度繰り返されてから、彼は運転席に戻り、なにやら電話をかけだした。
「人数が合いません」
その一言を聞いても、そのときの俺はまだ何も気づいてはいなかった。
「……いえ、増えていて……はい、多分、間違いなかったと思うんですが。……ええ、わかりました。確認します」
その話し声の後、車内のライトが全て点灯された。俺の横の席でいびきをかいていたおじさんが、んああ、と不快そうな声を上げて目を覚ます。 続いて、ボソッという独特の雑音が入り、運転手が車内マイクで喋り始めた。
「現在~パーキングにて停車中ですが、乗車時と現在でお客様の人数が合っておりません。不審者・不審物等のチェックのため、お休み中のお客様には大変申し訳ございませんが、確認として、……」
いったい何事だろう、とその内容の半分くらいを聞くまでは思っていて、途中から何が起きているのか大体の予想がついた。
慌てて運転手に駆け寄り説明し、その後乗客リストと現在の乗員数を確認することで一件落着したが、いやはや。トイレに篭もるのはよくない、というのが教訓だろうか。
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みたいなことがあってね。変にミステリ風にしないでわかりやすく言ってしまうと、俺がトイレに篭もってる間、より正確にはパーキングの停車時に人数チェックが行われていて、トイレの俺はノーカウント。 その後の発車前チェックでは俺が席に座っていたものだから、「バスから出た人数と入った人数は等しいことが確認されているのに、バス内の人数が増えている!」という、恐怖の事態だと思われたわけですね。
まあ、ミステリミステリ言ってるけど、こんなことはミステリをかじってる人であれば 「いや、出たり入ったりした人のチェックが正しいとしてしいなら、もう最初のチェック時にバスの中に人が隠れていたという可能性しかないだろ」 と簡単に推理ができて、バスの運転手さんとかプロなんだから、トイレの中に人がいたかもしれない、くらいは思い当たってくれよって感じなんだけど。 少なくとも 「テロリストが紛れ込んだのか!?」 という可能性よりはそっちを先に考えようぜ。 いや、平和ボケした日本にしてはいい対応だ、とかそういう見方もできるけどさ。
というのはまあ若干責任転嫁気味で。確かにパーキングエリアについていて、外のトイレ使えばいいっていう状況でも車内トイレに篭もっている正規の乗客がいるという想定はなかなかできなくて、俺の行動が変態すぎるのが悪いと言われればそんな気もするし。やっぱりトイレに人が入ってないかの確認くらいはガイドラインにいれとこうぜって気もするし。
しかしあれだね、高速バスでミステリやるとどうなるかなーみたいなことを妄想で考えてたら本当にそれっぽい事態になってるからマジ焦ったよ。しかもオチは原因自分かよっていうね。迷惑かけといてあれだけど吹かざるをえない(w
一般常識を外れた気持ち悪い行動は常識的システムとすれ違って、ときにこういう事態をも生むんだね。怖い怖い。
反省点としては、ほんとトイレに引き篭もるのはよくないよってことだよね。そうとしか言いようがないよ。今もこのエントリ、そのトイレの中から書いたけどね。全然反省してないね。ごめんね。
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コメント (6) to トイレに引き篭もるのはよくない
寄生虫?
2009/3/3 火曜日
こういう記事があるからここを見るのをやめられないんだよね。
2009/3/3 火曜日
小説は真実より奇なり、この一言に尽きる。
でも、トイレに長時間座るのって痔になりやすいみたいだから、やめておくのは正解かも。
2009/3/4 水曜日
高速バスの中で眠れないのって当たり前じゃない?
2009/3/4 水曜日
小説でも読んでる気分でした、いやはや面白かったです。
「高校時代、朝一で教卓の中にもぐりこみ、膝を抱えて英単語の書かれた暗記カードをめくった記憶がよみがえる」って部分で吹きました。何故だろう。とんでもないシュールな光景なのに、それがw/hがやってると思うと不思議と違和感がない……ど、どいうことだ!?
それと、分からないかもしれませんが、バス運転手が「人数が増えて……」というところで、同人ゲームひぐらしのなく頃に、の効果音が自分の中で流れました。ホラーですか。そうですか。
2009/3/5 木曜日
> 寄生虫?
逆で,東京に戻るときの出来事
> こういう記事があるからここを見るのをやめられないんだよね。
そいつはどうも.たまには書かないとね,こういうの
>>mealymouthed
痔ですか.なんかギャグとかでよく見るけど,痔がどういう症状になるアレなのかよくわかってないんだよね.常識ないってレベルじゃないね.今度調べようかな,うん
>>mikako
そうなのかな.周りの人はいびき立ててぐーぐー寝て見えた.俺も 3 回に 2 回は眠れるよ.
>>モロッコで性転換
まあ小説でも書いてる気分で書いたので.
正しい俺のイメージを持ってくれているようでなにより.他人に惑わされることなく集中できていい感じよ,教卓.
ひぐらしは,まあ仮にも同人サークルなぞに所属しとりますのでわかるです.確かにそこまで読んだ時点ではホラーっぽいかもしれないな.
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2009/3/3 火曜日